ハロウィンといえば、仮装をしたり、お菓子をもらったりするイベントというイメージがありますよね。
しかし、かつてのスコットランドやアイルランドでは、ハロウィンの夜に恋の行方や未来の結婚相手を占う風習がありました。スコットランドの詩人ロバート・バーンズが1785年に書いた詩「Halloween」にも、当時の占いの様子が描かれています。
その道具として使われていたのが、リンゴや木の実です。
現代ではハロウィンの遊びとして知られるものにも、実は恋占いにまつわる歴史があるのです。今回は、昔の人々がハロウィンの夜に楽しんでいた、不思議な占いの世界を紹介します。
リンゴを食べながら鏡を見ると、未来の結婚相手が現れる?
ハロウィンにまつわる恋占いのひとつが、リンゴと鏡を使う方法です。
スコットランドの詩人ロバート・バーンズが1785年に書いた詩『Halloween』には、当時のハロウィンの風習について詳しい解説が添えられています。
そこに記されているのは、ひとりで鏡の前に行き、ろうそくをともしてリンゴを食べるという占いです。リンゴを食べながら髪をとかしていると、鏡の中に未来の結婚相手の顔が、肩越しに現れると信じられていたそうです。

もちろん、実際に未来の相手が現れるという科学的な根拠はありません。しかし、将来誰と結婚するのか気になる若者にとっては、試してみたくなる占いだったのかもしれませんね。
なお、これはバーンズの詩に記された当時の風習の一例であり、すべての地域で同じ方法が行われていたわけではありません。
リンゴを口で取るゲームにも、恋占いの面影が?
ハロウィンの遊びとして知られるものに、水に浮かべたリンゴを、手を使わず口でくわえて取るゲームがあります。英語では「アップル・ボビング」と呼ばれます。
この遊びにも、恋占いとのつながりがあったとされています。
イギリスのキュー王立植物園が紹介するハロウィンの植物文化によると、かつては女性がリンゴに恋愛対象を割り当て、気になる相手のリンゴを口で取ることで、恋の行方を占う求愛儀式があったと考えられています。
こうした遊びでは、狙った相手のリンゴを取れるかどうかが、恋の未来を占う手がかりになっていたようです。
ただし、現在のアップル・ボビングが、すべてこの占いから直接生まれたと断定できるわけではありません。昔の恋占いと、現代のパーティーゲームは区別して考える必要があります。
木の実を火にくべると、恋人との未来がわかる?
リンゴだけでなく、木の実も恋占いに使われていました。
バーンズの『Halloween』には、男女がそれぞれの名前を木の実に割り当て、火にくべる占いが登場します。
2つの木の実が静かに燃えれば、恋がうまくいく。反対に、木の実がはじけたり、火の中で跳ねたりすれば、恋の行方は思わしくない――。そんなふうに、火の中での木の実の動きを見て、恋愛の未来を占ったといいます。

この方法についても、バーンズ自身が詩の注釈で説明しています。
現代の感覚では、木の実の燃え方と恋人との相性に関係があるとは思えません。しかし、先の見えない恋愛の行方を、何かに託して知りたいという気持ちは、今も昔も変わらないのかもしれません。
なお、こうした占いは当時の民間信仰や娯楽の一部です。占いの結果が未来を正確に予測できることを示すものではありません。
こうした恋占いは、いつまで行われていた?
リンゴや木の実を使ったハロウィンの恋占いは、少なくとも18世紀には記録に残っています。
スコットランドの詩人ロバート・バーンズが1785年に書いた詩『Halloween』には、木の実を火にくべて恋の行方を占う風習や、リンゴを鏡の前で食べる占いが描かれています。
さらに、アイルランド国立民俗コレクションにも、リンゴを食べながら鏡を見ると未来の結婚相手が現れるという言い伝えも残されています。
では、今もこうした占いは行われているのでしょうか。
リンゴを水に浮かべ、手を使わず口で取る「アップル・ボビング」は、現在もイギリスなどでハロウィンのゲームとして親しまれています。ただし、昔のように恋の行方を占う目的で広く行われているわけではないようです。
一方、鏡を使った占いや、木の実を火にくべる占いが、現在も広く続いていることを示す確かな資料は見つかっていません。
つまり、これらは昔のハロウィンの風習を知る手がかりではあるものの、すべてが現代まで同じ形で受け継がれているわけではないのです。
まとめ:お菓子やゲームの向こうに、昔の人々の願いがある
今ではハロウィンの定番となっているリンゴのゲームにも、昔の人々が恋の行方を占った風習とのつながりがあるといわれています。
もちろん、木の実の燃え方や鏡に映る姿で未来がわかるわけではありません。それでも、恋の行方を知りたいと願う気持ちは、時代が変わっても変わらないものなのかもしれませんね。
今年のハロウィンは、そんな昔の人々の願いにも思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

参考文献
ロバート・バーンズ『Halloween』(1785年)
キュー王立植物園「Plants of Halloween traditions」
アイルランド国立民俗コレクション「Halloween Customs」
関連記事
現代のハロウィンといえば黄色いカボチャのジャック・オー・ランタンを想像する方も多いのではないでしょうか。こちらの記事でジャック・オー・ランタンの成り立ちを解説しているので、ぜひ読んでみてください。



