ハロウィンの飾りといえば、オレンジ色のカボチャに怖い顔を彫った「ジャック・オー・ランタン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

お店やテーマパークにカボチャの飾りが並び、オレンジ色と黒の装飾が街を彩る季節。すっかりハロウィンの定番になったカボチャですが、実は昔からカボチャで作られていたわけではありません。
かつてアイルランドなどでは、カブをくり抜いてランタンを作る風習がありました。
なぜ、カブがカボチャに変わったのでしょうか。そして、そもそも「ジャック・オー・ランタン」とは何者なのでしょうか。
今回は、ハロウィンの定番アイテムに隠された、ちょっと不思議な歴史を紹介します。
昔のランタンはカブだった!
ハロウィンのランタンと聞くと、カボチャをくり抜いて作るもの、というイメージがありますよね。
しかし、アイルランドなどの地域では、かつてカブやジャガイモなどの根菜をくり抜き、怖い顔を彫ってランタンにする風習がありました。
中にろうそくを入れて明かりをともせば、暗闇に不気味な顔が浮かび上がります。現在のジャック・オー・ランタンと、基本的な仕組みは同じです。
アイルランド国立博物館には、1900年ごろに作られていたカブのランタンを再現した石膏模型が収蔵されています。
もとになったランタンは、1943年に学校の教師から博物館へ寄贈されたものです。寄贈者によると、当時はアイルランドのフィントン周辺で、このようなランタンが作られていたといいます。
この資料は、かつてのハロウィンの風習を今に伝える貴重なものです。
博物館は、このようなカブのランタンを、現在広く知られているカボチャのランタンにつながる伝統として紹介しています。
カブで作られたランタンは、現在のカボチャのものと比べると、ずいぶん印象が違います。オレンジ色の大きなカボチャではなく、白っぽい根菜に刻まれた顔。かわいらしさよりも、素朴で不気味な雰囲気が強く感じられます。
ハロウィンの定番アイテムにも、こんな意外な過去があったのです。
そもそも「ジャック・オー・ランタン」って何?
カブやカボチャをくり抜いたランタンは、英語で「Jack-o’-lantern(ジャック・オー・ランタン)」と呼ばれます。
この名前の由来としてよく知られているのが、「けちなジャック(スティンジー・ジャック)」という男の伝説です。
伝説にはいくつものバリエーションがありますが、よく語られるのは、ジャックが悪魔をだましたため、死後に天国にも地獄にも入れなくなってしまうという物語です。
行き場を失ったジャックは、暗闇をさまよい続けることになります。
そんなジャックに、悪魔が渡したのは、燃える炭でした。ジャックはその明かりを消さないよう、くり抜いたカブの中に入れて、暗い道を照らすランタンにしたといいます。
こうして、ランタンを持ってさまようジャックの姿が、「ジャック・オー・ランタン」という名前と結びつけられるようになったのです。

もちろん、これは実在の人物について確認された歴史ではなく、民間伝承として語り継がれてきた物語です。
では、なぜ人々は、わざわざ野菜をくり抜いて怖い顔を作っていたのでしょうか。
アイルランドの伝統的なハロウィンでは、死者の霊や不思議な存在が現れると考えられていました。怖い顔を彫ったランタンには、そうした存在を遠ざけ、身を守る意味があったとされています。
暗闇の中で不気味に光るランタンは、現代のハロウィンにも通じる雰囲気を持っています。
ハロウィンにおばけや怪物のモチーフが多いのも、こうした伝統と無関係ではありません。
なぜカブからカボチャに変わったの?
では、現在のようなカボチャのジャック・オー・ランタンは、どのように広まったのでしょうか。
大きなきっかけの一つが、アイルランドなどからアメリカへ渡った移民たちです。
移民たちは、故郷で親しまれていたランタン作りの風習を新天地にも持ち込みました。そこで目を向けられたのが、アメリカで手に入りやすかったカボチャです。

カボチャは大きく、内部をくり抜いて顔を彫るのにも向いています。カブなどを使っていた伝統が、アメリカではカボチャを使った形へと変化していきました。
カボチャのランタンがアメリカで広まるにつれ、現在よく知られるオレンジ色のジャック・オー・ランタンのイメージが定着していったのです。
つまり、カボチャが最初からハロウィンの象徴だったわけではありません。昔からの風習が別の土地へ伝わり、そこで身近な材料を使うようになった結果、定番の姿が変わったというわけです。
ただし、カブからカボチャへの変化が一度に起きたわけではなく、地域や時代によって使われる材料や風習には違いがありました。
スミソニアン協会によると、アメリカでカボチャをくり抜いてジャック・オー・ランタンを作る風習が始まったのは、19世紀半ばのことです。
現在では、カボチャのランタンはハロウィンを象徴する飾りとして、世界各地で親しまれています。

まとめ
ハロウィンの定番としておなじみのジャック・オー・ランタン。実は、アイルランドなどではカブをくり抜いて作られていた時代がありました。
それがアメリカに伝わり、身近なカボチャを使うようになったことで、現在おなじみの姿へと変化していったのです。
お店で見かけるオレンジ色のカボチャも、最初からハロウィンの象徴だったわけではありません。そう考えると、毎年見慣れているハロウィンの飾りも、ちょっと違って見えてくるかもしれませんね。
出典
アイルランド国立博物館:Ghost turnip
アイルランド国立博物館:ハロウィンの伝統
スミソニアン協会:Ghosts of Pumpkins Past
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