①「セイラム1692」って?
「人狼ゲーム」のように、仲間の中に潜む「敵」を見つけ出すゲームが好きなら、気になる作品があります。それが、Facade Gamesから発売されているカードゲーム「セイラム1692」です。

舞台となるのは、1692年のアメリカ・マサチューセッツ州で実際に起きた「セイラム魔女裁判」。プレイヤーは当時の町の住民となり、仲間の中に潜む魔女を探していきます。
「それなら、人狼ゲームの魔女版なのでは?」と思うかもしれません。しかし、ルールを見てみると大きな違いがあります。
「セイラム1692」は4~12人で遊べ、プレイ時間は20~40分程度。(後に2~3人で遊べるルールも追加されました。)カードを使って他のプレイヤーを告発したり、助けたりしながら、魔女を追い詰めていきます。さらに重要なのが、ゲームの途中で「魔女」の立場が変化する可能性があることです。
なお、日本では2026年9月下旬から販売開始予定と案内されています。数量限定で、最大30%OFFとなる告知も出ています。
②そもそも「セイラム魔女裁判」って?

「魔女裁判」って聞いたことあるけど、よく知らないなも
ゲームをより楽しむためにも、元ネタとなった事件を知っておきましょう。
セイラム魔女裁判は、1692年から1693年にかけて、マサチューセッツで起きた魔女裁判です。
現在の米国マサチューセッツ州ダンバースにあたるセイラム村で、少女たちに奇妙な症状が現れたことが発端の一つでした。少女たちは叫んだり、物を投げたり、奇妙な姿勢を取ったりするようになり、当時の医師は原因を「超自然的なもの」と考えました。
その後、少女たちは「自分たちに魔術をかけた」として複数の女性を名指しします。そして、そこから魔女の存在を疑う動きが一気に広がっていきました。
「この人も魔女なのでは?」という疑いが次々と別の人へ向けられ、150人以上が魔術を使ったとして告発され、最終的に19人が絞首刑、裁判を拒否した1人の男性は圧死させられました。拘留中に少なくとも5人が死亡していて、25人以上が命を落としたことになります。

25人も!?
現在では、この事件は宗教的な緊張や地域社会の対立、不安、うわさなどが絡み合い、疑心暗鬼が暴走した出来事としても知られています。
まさに「誰を信じればいいのか分からない」という状況です。

③「セイラム1692」の魅力
この歴史的背景を、そのままゲームの面白さにつなげているのが「セイラム1692」の大きな特徴です。
ゲーム開始時、プレイヤーには「Tryal(裁判)」カードが配られます。その中には「Witch」と書かれたカードなどが含まれており、誰が魔女なのかを探ることになります。
ただし、ここが普通の人狼ゲームとは違うところ。
ゲーム中に「Conspiracy(陰謀)」カードが登場すると、プレイヤーのTryalカードが移動します。つまり、最初は魔女ではなかった人が、ゲーム途中から魔女になる可能性があるのです。

「さっきまで味方だったから、この人は信用できる」
……とは限りません。
さらに、カードには他人を告発するものだけでなく、仲間を助けたり、状況を有利にしたりするものもあります。
そのため、「誰が怪しいか」だけではなく、「誰を助けるべきか」「この人の行動にはどんな意図があるのか」と考えながらプレイすることになります。
そして、このゲームには実在したセイラムの人物をモデルにしたキャラクターも登場します。ゲームの舞台設定だけでなく、登場人物まで歴史と結びついているため、雰囲気を楽しみたい人にも魅力的でしょう。

④一般的な「人狼ゲーム」との違いは?
ここでは、一般的な人狼ゲームを「村人陣営と人狼陣営に分かれ、昼に議論して投票し、夜に人狼が村人を襲撃する」というタイプの正体隠匿ゲームとして考えてみます。
最大の違いは、敵陣営が固定されていないことです。
人狼ゲームでは、基本的にゲーム開始時点で人狼が決まっています。もちろん特殊ルールはありますが、「この人は最初から人狼」という前提で推理を進めるのが一般的です。
一方、「セイラム1692」では、陰謀カードによって魔女のTryalカードがプレイヤー間を移動します。
つまり、
「誰が魔女なのか?」だけでなく、「今、誰が魔女なのか?」
を考えなければなりません。

さらに、人狼ゲームでは会話や投票による心理戦が中心になりやすいのに対して、「セイラム1692」ではカードの使い方そのものも重要です。
誰かを告発するのか、助けるのか。誰にカードを渡すのか。どのタイミングで疑いを向けるのか。
プレイヤー同士の会話だけではなく、カードによって状況が動いていくため、ボードゲーム・カードゲームらしい戦略性もあります。

また、ゲーム終了時に「魔女だった人」が重要になるのも特徴です。魔女カードを一度でも持ったプレイヤーは魔女側となるため、「今は魔女ではないから安全」と単純には言えません。
なお、町民は魔女になったプレイヤーを全員倒す必要はありません。すべての「Witch」カードが公開されれば勝利です。
⑤まとめ
「セイラム1692」は、一見すると「魔女を探す人狼ゲーム」のように見えます。
しかし実際には、歴史上のセイラム魔女裁判モチーフに、疑惑・告発・裏切り・立場の変化をカードゲームとして楽しめる作品です。
特に面白いのは、「信用していた人が、ゲーム途中で魔女になっているかもしれない」という仕組み。
「この人は味方だ」と思っていた相手を、次の瞬間には疑わなければならない。
そんなセイラム魔女裁判の「疑心暗鬼」を、ゲームとして体験できるのが「セイラム1692」の魅力と言えるでしょう。
人狼ゲームが好きだけれど、「いつもの人狼とは少し違うゲームを遊んでみたい」という人には、かなり気になる作品ではないでしょうか。
⑥ほかに「セイラム魔女裁判」をモチーフにしたゲームって何がある?
実は、セイラム魔女裁判を題材にしたゲームは「セイラム1692」だけではありません。
例えばDPH Gamesから販売されている「Affliction: Salem 1692」は、同じ事件を題材にしながら、かなり違った方向性のボードゲームです。
こちらは2~4人向けで、プレイヤーはセイラムの派閥を率い、影響力を使って住民を自分の勢力に取り込んだり、人物を逮捕させたりします。魔女探しそのものよりも、当時の社会的対立や権力争いに焦点を当てたゲームです。
また、APE Games発売のカードゲーム「Anathema」もセイラム魔女裁判をテーマにしています。こちらは古典的な「Casino」をベースにしたカードゲームで、カードには実際の裁判記録などをもとにした文章が使われています。
さらにデジタルゲームではAccelerate Games発売の「Midnight Mysteries: Salem Witch Trials」もあります。こちらは作家ナサニエル・ホーソーンの死をきっかけに、17世紀のセイラム魔女裁判にまつわる謎を追うアドベンチャー・パズルゲームです。
同じ「セイラム魔女裁判」という題材でも、正体隠匿、権力争い、カードゲーム、謎解きと、ゲームによって切り取り方はさまざま。
そう考えると、「セイラム1692」はその中でも特に、「魔女狩りによって広がる疑心暗鬼」そのものをプレイヤー同士の心理戦として楽しむゲームと言えそうです。
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筆者はボードゲームに付き合ってくれる友達が少ないのでPCゲームをよくやります。最近ちょうどフリーホラーゲームを紹介しているので興味を持った人はプレイしてみてはいかがでしょうか。


