近年、「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」という言葉が注目されています。暴言や暴力のように分かりやすい行為ではないため、周囲が問題に気づきにくい場合もあります。しかし、不機嫌な態度が繰り返されると、職場や家庭の人間関係にストレスを与えることがあります。

日刊SPA!の記事では、株式会社エムフロが仕事をしている人500人を対象に実施した調査を紹介しています。調査では、回答者の74.6%が「職場にフキハラをする人がいる」と回答しました。
ただし、これは調査に回答した人の割合であり、全国の職場全体の実態をそのまま示す数字ではありません。それでも、フキハラが働く人にとって身近な問題として認識されていることがうかがえます。
なお、「フキハラ」は不機嫌な態度によって周囲に心理的な負担を与える行為を表す一般的な呼び方であり、それ自体が法律で独立して定義されたハラスメントの名称というわけではありません。実際に問題となるかどうかは、行為の内容や頻度、相手との関係、周囲への影響などによって異なります。
今回の記事では、不機嫌ハラスメントとは何か、被害にあった場合の対処方法、そして自分が無意識の加害者にならないためのポイントについて解説します。

セクハラにカスハラ…フキハラもなもか。

フキハラについても理解して、対処できるようになりたいね。
不機嫌ハラスメントとは?
不機嫌ハラスメントとは、不機嫌な態度や雰囲気を周囲に示すことで、相手に不快感や威圧感を与え、精神的なストレスにつながる行為を指します。
例えば、次のような行動が挙げられます。
- 無言で対応する、返事をしない
- ため息や舌打ちが増える
- ドアを強く閉める、物に当たる
- 明らかに不機嫌な表情を見せる
- 相手によって態度が極端に変わる
これらは必ずしも言葉による攻撃ではありませんが、周囲に「何か悪いことをしたのではないか」と不安を与えたり、過度に気を遣わせたりする原因になります。
重要なのは、不機嫌な態度そのものが、必ずしもハラスメントになるわけではないという点です。ただし、無視や威圧的な態度などが繰り返され、周囲に強い心理的負担を与えている場合には、問題となることがあります。

不機嫌ハラスメントが問題になる理由
不機嫌ハラスメントが厄介なのは、明確な言葉による攻撃ではないため、周囲が指摘しにくい点にあります。
不機嫌ハラスメントが問題になると、次のような影響が生じることがあります。
- 周囲が萎縮する: 相手の顔色をうかがうようになり、自由に発言しにくくなる。
- 職場や家庭の雰囲気が悪化する: 周囲が緊張し、安心して過ごしにくくなる。
- 生産性や人間関係に影響する: 必要なコミュニケーションが減り、業務に支障が出ることがある。
- 精神的なストレスが蓄積する: 相手の機嫌を気にし続けることで、負担が大きくなる場合がある。
特に職場では、上司など優越的な立場にある人の不機嫌な態度によって、部下が萎縮し、仕事に支障が出ることもあります。行為の内容や状況によっては、パワーハラスメントに該当する可能性もあるため、具体的な事情に応じて判断することが大切です。
不機嫌ハラスメントの背景にあるもの
不機嫌な態度の背景には、ストレスや体調不良、本人の考え方、人間関係など、さまざまな要因が考えられます。ただし、態度だけで本人の心理や原因を断定することはできません。
- ストレスや体調不良: 疲労や心身の不調によって、感情をうまくコントロールできないことがある。
- 仕事上の評価への不満: 仕事上の評価などに不満を感じ、それが態度に表れる場合がある。
- 不機嫌を察してほしい: 言葉で気持ちを伝えず、態度によって相手に気づいてもらおうとする場合がある。
- 相手をコントロールしようとする: 不機嫌な態度によって相手に気を遣わせたり、行動を変えさせたりしようとする場合がある。
被害にあったときの対処方法

不機嫌ハラスメントを受けた場合、感情的に反応するよりも、冷静に距離を取りながら対応することが重要です。
① 必要以上に気を遣わない
相手の機嫌を取ることばかりに気を取られ、自分を責める必要はありません。無理に相手の気持ちを変えようとせず、必要な会話や業務に集中することを心がけましょう。
② 事実ベースで対応する
感情ではなく、業務上必要なやり取りに絞って会話します。
例:
「この件の確認ですが、どう進めればよいですか?」
「提出期限について教えてください」
相手の態度に触れず、事実だけを扱うことで余計な対立を避けられます。
③ 距離を取る
可能であれば物理的・心理的に距離を取ることも有効です。席を離す、関わる時間を減らすなど、巻き込まれない環境を作ることが重要です。
④ 記録を残す
繰り返し起きている場合は、日時・状況・具体的な行動を記録しておきます。後で相談する際の客観的な材料になります。
⑤ 相談する
社内の上司や人事部、相談窓口に伝えることも必要です。その際は「不快だった」ではなく、「どのような行動が、どんな影響を与えたか」を具体的に伝えると効果的です。
それでも改善しない場合は、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」など、公的な相談窓口に相談する方法もあります。職場のハラスメントや労働問題について、相談できる窓口を確認してみましょう。

気づかないうちにフキハラをしてしまう場合もあるみたいだよ。
加害者にならないために気をつけたいこと
不機嫌ハラスメントは、本人に悪意がなくても、周囲に心理的な負担を与える行動につながることがあります。無意識に相手を萎縮させないよう、日常の中で次の点に注意しましょう。
① 不満や不機嫌を態度に出さない
疲れやストレスがあっても、ため息や無視、乱暴な動作などが繰り返されると、周囲に心理的な負担を与えることがあります。まずは「態度として出さない」意識が必要です。
② 伝えたいことは言葉にする
無言や態度だけで意思を伝えようとすると、相手に意図が伝わらず、心理的な負担を与えてしまうことがあります。伝えたいことがある場合は、できるだけ言葉にして伝えましょう。
③ 一度「間」を置く習慣を持つ
感情が表に出る前に、深呼吸をしたり、席を外したりするなど、一度間を置くだけで、無意識の態度表現を防ぎやすくなります。
④ 周囲への影響を定期的に確認する
自分では何気ない行動のつもりでも、周囲に負担を与えている場合があります。自分の意図だけで判断せず、相手への影響や、行動が繰り返されていないかを振り返ることが大切です。
周囲の人が話しかけにくそうにしていないか、必要以上に気を遣わせていないかなどを、日頃から振り返る習慣を持つとよいでしょう。
不機嫌になってしまうこと自体が悪いわけではありません。問題なのは、不機嫌を周囲にぶつけたり、無言の態度で相手を動かそうとしたりすることです。

フキハラの背景にはストレスや体調不良もあったなも。
ストレス解消や体調管理にも気をつけたいなも。
参考資料:カオナビ、Ascent Business Consulting株式会社、Bizup
まとめ
不機嫌ハラスメントは、暴言や暴力のように分かりやすい形で現れないこともあります。不機嫌な態度や無視などが繰り返され、周囲に心理的な負担を与える場合には、問題となることがあります。
もし被害にあった場合には、距離をとる・記録を残す・相談することが大切です。
また、自分が加害者にならないためには「言語化」と「態度の自覚」が重要です。
人間関係において完全に感情をなくすことはできませんが、「どう表現するか」を意識することで、無用なストレスや誤解を大きく減らすことができます。お互いが気持ちよく過ごせる人間関係を築くためにも、心がけたいですね。
これも知っておきたい
今回の記事ではフキハラについて解説しました。
以下の記事ではカスハラについて解説しています。カスハラにはユニークな取り組みもあるようです。


