『江戸時代のアクスタ』って何?初音ミク×葛飾北斎コラボから見る“昔の推し活”

障がいコラム

「江戸時代にも、アクスタみたいなものがあった……?」

そんな気になる話を見つけたきっかけは、Xで公開された『ねんどろいど 初音ミク 葛飾北斎コラボVer.(Rella)』でした。

葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をモチーフにした初音ミクがねんどろいどになり、その彩色原型が公開🎤🌊

Xの投稿がコチラ👇

擬人化シンナモ
擬人化シンナモ

『神奈川沖浪裏』の要素をすごく綺麗に落とし込んでいて、とってもかわいいなも~!✨ ねんどろいどのクオリティも高くて、欲しくなってるなも……!

……と、ねんどろいどだけでも十分気になるところですが、関連情報を調べていると、さらに面白いものを発見👀

それが、江戸時代後期から明治・大正期にかけて楽しまれた、『立版古(たてばんこ)』です。

実は、9月19日から印刷博物館で始まる関連展示では、立版古などの『おもちゃ絵』と、現代のフィギュアやアクリルスタンドを並べて比較する企画が予定されています。

シンナモ
シンナモ

江戸時代のおもちゃ絵と、今のアクスタ……? ぜんぜん違うものに見えるけど、どうつながってるなも……?

たしかに、時代も素材も違うので、一見するとまったく別のものに見えますよね💭

もちろん、江戸時代に現在のようなアクリル製の『アクスタ』が存在していたわけではありません。

ところが立版古について調べてみると、好きな人物や作品の世界を、平面の中だけで終わらせず、立体にして楽しむという、現代にもどこか通じる遊び方が見えてきました🫢

さらに興味深いのが、この立版古と葛飾北斎にも関わりがあったとされていること。

そこで今回は、”江戸時代のアクスタ”とも言いたくなる『立版古』とは何なのか、現代のアクスタとどこが似ているのか、そして昔の人たちにも“推し活”に通じる楽しみ方があったのかを見ていきます!

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初音ミク×葛飾北斎のコラボが話題に

今回話題になっている「初音ミク×葛飾北斎」は、江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎の作品と、現代のバーチャルシンガー・初音ミクたちがコラボしたプロジェクトです。

今回モチーフに選ばれたのは、葛飾北斎の『冨嶽三十六景』から、

  • 神奈川沖浪裏
  • 凱風快晴
  • 甲州三坂水面
  • 東海道品川御殿山ノ不二

の4作品🖼️

2026年7月には、イラストレーターのRellaさんによる新たな描き下ろしビジュアルも公開されました。

初音ミクをはじめとするピアプロキャラクターズの衣装には、北斎作品から取り入れたモチーフや色使いが、それぞれのキャラクターに合わせて落とし込まれています。

Rellaさんによると、今回は衣装のアレンジだけでなく、北斎作品のタッチや版画印刷ならではの質感を、デジタル上で再現することにも力を入れたとのこと。

昔の浮世絵と現代のキャラクターイラストが、こんな形で組み合わさるのは面白いですよね✨

『「葛飾北斎 × 初音ミク Rella」新プロジェクト』公式発表サイトはコチラ🔗

Rellaさん描き下ろしの「葛飾北斎×初音ミク」ビジュアル(一部)👇

『初音ミク公式ブログ』よりキャプチャ
擬人化シンナモ
擬人化シンナモ

ミクちゃんとKAITOは同じ作品のモチーフだからか、兄妹みを感じて最高なも~! 2人の兄妹感が好きな人には、たまらないビジュアルかもしれないなもね🎶

シンナモ
シンナモ

リンちゃん・レンくんやルカさん、MEIKOさんも、それぞれ元になった北斎作品の雰囲気がしっかり出ていて、見比べるのが楽しいなも~!✨

そして今回、そんな描き下ろしビジュアルの中から、『神奈川沖浪裏』をモチーフにした初音ミクが、ねんどろいどとして立体化されました!

大きくうねる波を思わせるツインテールや、ふわっと広がった袂など、元イラストの印象的なデザインが、小さなねんどろいどの中でもしっかり再現されています。

表情パーツは「笑顔」「流し目笑顔」「舌ペロ顔」の3種類。

さらに、オプションパーツとして「筆」なども付属しており、好きな表情やポーズで飾って楽しめる仕様になっています。

『ねんどろいど 初音ミク 葛飾北斎コラボVer.(Rella)』販売ページはコチラ🔗

『ねんどろいど 初音ミク 葛飾北斎コラボVer.(Rella)』ビジュアル👇

『グッドスマイルカンパニー』公式サイトからキャプチャ

『ねんどろいど 初音ミク 葛飾北斎コラボVer.(Rella)』のグッドスマイルカンパニー公式ショップでの予約期間は、2026年9月17日〜10月28日までです。なお、予約受付期間内でも販売を終了する場合があります。また、取扱店舗によって予約期間が異なる場合があるため、購入前に各ショップの最新情報をご確認ください。

“江戸時代のアクスタ”って何?

では、今回のテーマでもある“江戸時代のアクスタ”とは何なのでしょうか?

その正体として注目したいのが、『立版古(たてばんこ)』と呼ばれるおもちゃ絵です。

立版古は、紙に描かれた人物や建物などを切り抜き、組み立てて立体として楽しむもの。

もちろん現代のアクスタとは別物ですが、平面の絵を立体にして身近に楽しむという点には、どこか似たところがあります。

まずは、立版古がどんなものなのか見ていきましょう!

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絵を切って組み立てる“江戸時代のペーパークラフト”

『立版古』をひとことで言うなら、今でいう“ペーパークラフト”のようなものです。

紙に人物や建物、風景などのパーツが描かれており、それを切り抜いて組み立てることで、平面だった絵を立体的な作品に仕上げていきます✂️📜

実際の立版古・組上絵がコチラ👇

『龍宮餝立燈籠』(東京学芸大学附属図書館所蔵)https://d-archive.u-gakugei.ac.jp/item/10808115

東京学芸大学附属図書館では、デジタルアーカイブで公開している著作権保護期間が満了した古典籍の画像について、所蔵館情報を明記することで、特別な申請をせずに転載・加工・商用利用できると案内しています。
詳しい利用条件:東京学芸大学附属図書館「デジタルアーカイブ『学びと遊びの歴史』の画像データが自由に利用できるようになりました」

今のペーパークラフトでも、厚紙に印刷されたパーツを切り抜いて、建物やキャラクターを組み立てることがありますよね。

立版古もそれに近く、平面だった絵が、自分の手で少しずつ立体になっていくのが大きな特徴です。

しかも、立版古で作られていたのは、建物や風景だけではありません!

当時人気だった歌舞伎などの芝居の世界も、紙の上から飛び出すように立体化して楽しまれていました。

歌舞伎の舞台なども立体にして楽しんでいた

立版古の題材は、建物や風景だけではありません☝️

なかでも人気だったのが、当時の人たちにとって身近な娯楽だった歌舞伎などの芝居です。

東京学芸大学によると、江戸で生まれた立版古には、歌舞伎の舞台を大がかりに立体で再現するものがありました。
完成したときの間口や奥行きまで記された作品もあり、額縁のような枠が付いたものもあったようです。

また、大阪で作られた立版古でも、題材は「芝居もの」「風物もの」「風景もの」などに分けられ、なかでも歌舞伎狂言を題材にした芝居ものが多かったとされています。

つまり、実際に劇場で観た舞台や物語の世界を、今度は自分の手で組み立てて楽しめたわけですね。

さらに興味深いことに、江戸の立版古は歌舞伎役者の宣伝用に作られたとも説明されています。

擬人化シンナモ
擬人化シンナモ

好きな芝居の世界を立体にして、手元で楽しむ。形は今のアクスタやフィギュアと違っても、「好きな人や作品をもっと身近に感じたい!」って気持ちは、昔も今も似てるのかもしれないなもね!

出典:東京学芸大学「おもちゃ絵の解説」、大阪府立図書館「組み立ておもちゃ 立版古」

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実は葛飾北斎も『立版古』と関係していた?

ここまで立版古について見てきましたが、実は今回のコラボ相手である葛飾北斎本人も、この文化と関わりがありました。

より正確にいうと、北斎は『組上絵(くみあげえ)』と呼ばれるおもちゃ絵を手がけています。

組上絵は、絵を切り抜いて組み立てることで立体模型にするもので、上方では『立版古』とも呼ばれました。

島根県立美術館では、北斎が文化年間ごろに描いた『しん板くミあけとうろふ ゆやしんミセのづ』という作品を紹介しています。

これは、絵の裏に厚紙を貼ってパーツを切り抜き、組み立てると、当時の公衆浴場「湯屋」が立体的に完成するというもの。

しかも北斎は、組上絵の名手として記録され、現在までに10種ほどが知られているそうです。

島根県立美術館「北斎の画歴」掲載ページはコチラ🔗

『立版古』と『現代のアクスタ』を比べてみた

ここまで見てくると、『立版古』と『現代のアクスタ』には、たしかに少し似ているところがありますよね🤔

とはいえ、もちろん”立版古=昔のアクスタ”ではありません!

そこで、それぞれの特徴を簡単に比べてみました👇

比較立版古現代のアクスタ
主な素材紙アクリル
作り方絵を切り抜いて自分で組み立てる印刷されたパーツを台座に立てる
題材歌舞伎、建物、風景、物語などキャラクター、人物など
表現人物だけでなく、舞台や背景まで立体化する作品もあるキャラクターや人物単体のものが多い
楽しみ方作る・飾る・眺める飾る・持ち歩く・写真を撮るなど

こうして比べてみると、素材や作り方はかなり違います。

『立版古』は、自分で切って組み立てること自体も楽しみのひとつで、作品によっては歌舞伎の舞台や建物まで含めた空間を、丸ごと立体的に再現します。

一方、現代のアクスタは、キャラクターや人物を気軽に飾ったり、好きな場所へ持ち歩いたりできるのが魅力です。

ただ、そんな2つに共通しているのが、”平面の中にいる好きな人物や世界を、現実の空間に立ち上げて楽しむ”というところ☝️

形や素材は違っていても、「好きなものをもっと身近で楽しみたい」という気持ちには、昔も今もどこか通じるものがあるのかもしれませんね😌

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もしかして江戸時代にも”推し活”があった?

ここまで見てくると、もうひとつ気になることがあります。

もしかして江戸時代の人たちにも、今でいう「推し活」のような楽しみ方があったのでしょうか?🤔

もちろん、「推し」や「推し活」という言葉は現代のものなので、江戸時代にもまったく同じ文化があった、とそのまま言うことはできません。

ただ、当時の歌舞伎ファンの楽しみ方を見てみると、現代の推し活を連想させる要素も見られます。

江戸時代の歌舞伎役者は、いわば当時の人気スター✨

ファンたちは、贔屓の役者が出演する舞台を楽しむだけでなく、その姿を描いた『役者絵』も買い求めていました。

さらに、役者を描いた団扇絵や、切って組み立てて遊ぶ組上絵など、今でいう“役者グッズにたとえられる印刷物”のようなものまで楽しまれていたそうです。

擬人化シンナモ
擬人化シンナモ

もしかすると、“推し活”は日本人の魂に刻み込まれている文化なのかもしれないなもね……。

シンナモ
シンナモ

いや、それはさすがに言いすぎなも……。でも、昔から「好きな人や作品を身近で楽しみたい」って気持ちがあったのは、ちょっと面白いなも。

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今回の初音ミク×葛飾北斎展が面白い理由

ここまで見てくると、今回の初音ミク×葛飾北斎の展示が、ただのコラボ企画ではないことが分かります。

印刷博物館で開催される「Polaris-時代を超えた アイコンと絵師-」では、Rellaさんの描き下ろし作品や北斎版画の復刻作品、フィギュアなどを展示。

さらに、

  • 浮世絵の「分版」⇔ デジタルイラストの「レイヤー」
  • 立版古 ⇔ フィギュア・アクリルスタンド

といったように、江戸時代と現代の表現方法を比べながら楽しめる内容になっています。

会場では、『神奈川沖浪裏×初音ミク』を使った重ね捺しスタンプ体験も予定されており、浮世絵の仕組みを体験しながら学べるのもポイント!

昔と今では道具も技術も違いますが、作品の作り方や「好きなものを身近で楽しむ」という感覚には、意外と共通するところがありますよね。

今回の展示は、そんな江戸と現代のつながりを、初音ミクと葛飾北斎を通して楽しめる企画になっています🎤🌊

『印刷博物館ミニ展示 Polaris-時代を超えた アイコンと絵師-』公式サイトはコチラ🔗

擬人化シンナモ
擬人化シンナモ

『印刷博物館ミニ展示 Polaris-時代を超えた アイコンと絵師-』は、2026年9月19日から2027年1月11日まで、東京・文京区の印刷博物館で開催されるなも!気になった人はぜひ実際に見に行ってみてほしいなも❣️

まとめ

今回は、初音ミク×葛飾北斎のコラボをきっかけに、江戸時代の『立版古』と現代のアクスタの共通点を見てきました。

もちろん、立版古とアクスタは別物です。

それでも、好きな人物や作品の世界を立体にして身近で楽しむという感覚には、今の“推し活”にも通じるものがあります。

さらに、葛飾北斎自身も組上絵を手がけていたという意外なつながりも💭

素材や技術は変わっても、「好きなものをもっと身近で楽しみたい!」という気持ちは、昔も今も案外変わらないのかもしれませんね👀✨

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