「KDDIが楽天モバイルへの回線貸出を終了する」というニュースが話題になっています。
KDDIは2026年8月7日、楽天モバイルに提供しているローミングについて、現在の契約を9月末で終了すると明らかにしました。
出典:日本経済新聞「KDDI、楽天への回線貸し出しを9月末に終了 地方部では継続へ協議」(8/8閲覧)
ただし、「10月から楽天モバイルが使えなくなる」という意味ではありません。KDDIは10月以降、都市部でのローミングを終了する一方、山間部や過疎地などでは一定期間、支援を続ける方向で楽天側と協議しています。
では、そもそもKDDIはなぜ楽天モバイルに回線を貸しているのでしょうか。そして今回の終了によって、KDDIユーザーや楽天モバイルユーザーにはどんな影響があるのでしょうか。
今回は、このニュースをできるだけ分かりやすく整理します。
そもそも「回線貸出」ってどういうこと?
今回のニュースを理解するためには、「ローミング」という仕組みを知っておく必要があります。
携帯電話会社には、自社で基地局などの通信設備を整備してサービスを提供する会社があります。KDDIやNTTドコモ、ソフトバンクなどのほか、楽天モバイルもこれにあたります。
しかし、全国すべての場所に自社の基地局を設置するのは簡単ではありません。
特に山間部や離島、人口の少ない地域などでは、基地局を整備しても利用者が少なく、設備投資に対して十分な収益を得にくいという問題があります。
そこで、自社の電波が届かない場所などで、他社のネットワークを借りて通信できるようにする仕組みがあります。これがローミングです。

楽天モバイルはサービス開始当初、全国に十分な基地局を持っていませんでした。
そこで2019年から、楽天モバイルはKDDIの回線を借りてローミングを始めました。
楽天モバイルの利用者が楽天の基地局につながらない場所に行った場合、KDDIの基地局を利用して通信できるようにしたのです。
イメージとしては、
楽天モバイルの電波がある場所 → 楽天のネットワーク
楽天モバイルの電波が弱い・届かない場所 → KDDIのネットワーク
という形です。
この仕組みのおかげで、楽天モバイルは自社の基地局がまだ少ない時期でも、比較的広いエリアでサービスを提供できました。
一方のKDDIにとっては、楽天モバイルからローミングの利用料を受け取れるというメリットがあります。
つまり、両社にとってメリットのある関係だったわけです。

KDDIユーザーへの影響は?
では、今回のローミング終了によって、KDDIを利用している人にはどんな影響があるのでしょうか。
結論から言えば、基本的には大きな影響はありません。
むしろKDDI側は、今回のローミング縮小によって自社ユーザーの通信品質を高めたいとしています。
KDDIの松田浩路社長は、楽天モバイルから「想定以上の通信量」がKDDIのネットワークに流れていると説明。
そのうえで、楽天との契約終了によってその状況を解消し、KDDIユーザーの通信品質向上に力を入れる考えを示しています。
つまり今回の決定は、
「KDDIユーザーのために、KDDIのネットワークをより自社ユーザー中心に使いたい」
という側面があります。
もちろん、楽天モバイルへのローミング提供が減れば、KDDIにとってはローミング収入が減ることになります。
それでもKDDIは、自社の利用者が増えたことや通信量が増加していることを踏まえ、ネットワーク品質を優先する判断をしたと考えられます。
KDDIユーザーからすると、「突然KDDIの電波が使えなくなる」といった話ではありません。

今回影響を受ける可能性が高いのは、むしろ楽天モバイルのユーザーです。
楽天モバイルユーザーへの影響は?
では、楽天モバイルを使っている人はどうなるのでしょうか。
ここが今回のニュースで最も気になるところです。
まず重要なのは、10月以降も楽天モバイルそのものが使えなくなるわけではないということです。
楽天モバイルには自社の基地局があります。
楽天モバイルは4Gの人口カバー率がほぼ100%に達しており、以前と比べれば自前のネットワークは大幅に拡大しています。
しかし、すべての場所で十分な通信品質が確保されているわけではありません。
特に問題になる可能性があるのが、これまでKDDIのローミングに頼っていた地域です。
日経新聞の記事では、KDDIのローミング提供地域には、横浜市やさいたま市などの政令指定都市の一部も含まれているとされています。
日経の専門家コメントでは、東京都であれば檜原村や奥多摩町、千葉県なら房総半島南部の山間部などは10月以降もローミングが継続される可能性がある一方、都市部や住宅地ではローミング終了による影響が出る可能性が指摘されています。
つまり、
「楽天の基地局が十分にある場所では、ほとんど問題ない」
一方で、
「これまでKDDIの電波に助けられていた場所では、つながりにくくなる可能性がある」
ということです。
特に注意したいのは、自宅や職場、通勤・通学ルートなどです。
普段は楽天モバイルの電波を使っていると思っていても、実は一部の場所でKDDIのローミングを利用している可能性があります。
そのため、楽天モバイルユーザーにとっては、10月以降に自分がよく利用する場所の通信状況がどうなるのかが重要になります。

では今後どうなる?楽天ユーザーは離れてしまう?
今回のニュースで気になるのが、楽天モバイルから他社へ乗り換える人が増えるのかという点です。
実際に乗り換える人がどの程度増えるかは、10月以降の通信品質や、楽天モバイルがどこまで自社ネットワークを強化できるかに左右されそうです。
楽天モバイルにとって、KDDIとのローミングは基地局整備が十分ではなかった時期を支える重要な仕組みでした。
しかし、いつまでも他社のネットワークに頼り続けるわけにもいきません。
KDDIの松田社長も、通信事業を担う大手キャリアについて「基地局整備は自ら行うのが前提だ」という考えを示しています。
楽天モバイルとしては、今後さらに自社基地局を整備し、KDDIのローミングに頼らなくても十分な通信品質を確保できるようにすることが重要になります。
一方、今回のニュースでは、地方部などについてはKDDIとのローミングを継続する方向で協議していることにも注目です。
つまり、いきなり「KDDIとの関係が完全終了」というわけではありません。
楽天モバイルにとっては、都市部では自社ネットワークを強化しながら、基地局整備が難しい山間部や過疎地ではKDDIのネットワークを一定期間利用する、という形が現実的なのかもしれません。
また、楽天モバイルが今後どれだけ基地局を増やし、5Gを含めた通信品質を改善できるかも重要です。
2025年3月時点で、楽天モバイルの5G基地局数は約3.5万局。記事によるとKDDIの3割程度にとどまっています。
この差をどこまで縮められるかが、今後の大きなポイントになりそうです。

まとめ
今回の「KDDIが楽天への回線貸出を終了」というニュースは、少し刺激的に聞こえるかもしれません。
しかし、正確には、
「KDDIが楽天モバイルへのローミングを9月末で終了し、10月以降は都市部を中心に提供を縮小する」
という話です。
楽天モバイルが10月から突然使えなくなるわけではありません。
楽天モバイルは自社の基地局を使ってサービスを続けますし、地方部や過疎地などではKDDIとのローミングが継続される可能性もあります。
一方で、これまでKDDIのネットワークに頼っていた楽天モバイルユーザーにとっては、通信品質が変化する可能性があります。
特に自宅や職場、よく行く場所でKDDIローミングを利用している場合は注意が必要です。
そして楽天モバイルにとって今回の出来事は、ある意味で大きな転換点になるでしょう。

KDDIのネットワークに頼る段階から、「自分たちのネットワークだけで、どこまで快適な通信環境を作れるか」が問われる段階に入ったからです。
果たして楽天モバイルは自社基地局の整備をさらに進められるのでしょうか。
そして、通信品質を理由に楽天モバイルから他社へ乗り換える人は増えるのでしょうか。
10月以降、実際の通信状況がどう変化するのか、そして楽天モバイルがどのような対策を打ち出すのかに注目です。
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