8月だから聴いてほしい「トゥイー・ボックスの人形劇場」

8月だから聴いてほしい「トゥイー・ボックスの人形劇場」 トレンド

なにはともあれ聴いてみてください。ポップな曲調でとても聴きやすい曲です。

『トゥイー・ボックスの人形劇場』は作詞・作曲をささくれPが担当し、初音ミクが歌唱するいわゆる「ボカロ曲」です。

初めて聴くと、おもちゃ箱のようなかわいらしい世界観と、不思議な歌詞に惹き込まれる一曲ですね。しかし歌詞を読み解いていくと、その奥には「戦争」や「平和」を思わせるモチーフが数多く散りばめられていることに気付きます。

8月には、日本では広島への原爆投下(8月6日)長崎への原爆投下(8月9日)、そして終戦の日(8月15日)を迎えます。この時期だからこそ、この曲とともに「戦争」や「平和」について考える機会にしませんか?

もちろん作者が「こういう意味です」と明言しているわけではありません。この記事では、歌詞やMVから筆者が読み取った一つの解釈として、この楽曲の魅力を紹介します。

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子どもの遊びから、少しずつ見えてくる「戦争」

曲の冒頭に登場するのは、人形や積み木、ぜんまい、お菓子、メリーゴーランドなど、まるで絵本やおもちゃ箱のような世界です。

タイトルにもある「トゥイー(Twee)」は、英語で「かわいらしい」「メルヘンチック」といった雰囲気を表す言葉。「トゥイー・ボックス」とは、まさに子どもの頃に誰もが遊んだようなおもちゃ箱を思わせます。

歌詞にも、

「だれもが一度暮らした世界」

という一節があります。

これは、おもちゃ箱そのものというより、「子どもの頃の純粋な世界」を表しているようにも感じられます。

やがて曲が進むにつれ、その世界へ少しずつ違和感が入り込んできます。

「ガラスのうさぎ」「トロイの木馬」、そして最後には「ミサイル」という言葉。

かわいらしい世界観の中へ、戦争を連想させるモチーフが静かに現れることで、この曲は単なるメルヘンソングではないことが分かります。

画像はYouTubeよりキャプチャ
擬人化シンナモ
擬人化シンナモ

流れ星にミサイルが紛れ込んでるなも!?

「meta」を求める大人たち

この曲でもう一つ印象的なのが、「meta(メタ)」という言葉です。

画像はYouTubeよりキャプチャ

おとなになると
みんなが”meta”を求め求めちゃうの!

ここでいう「meta」は、「意味」や「裏にあるメッセージ」を指しているように思えます。

子どもの頃は、人形遊びや積み木遊びに深い理由はありません。

「楽しいから遊ぶ。」

それだけで十分でした。

画像はYouTubeよりキャプチャ

一方で大人になると、何にでも理由や意味を求めるようになります。続く

“meta”の無いこの言葉は
たちまち わすれて

という歌詞は、「ただ遊ぶこと」「ただ笑うこと」の大切さを、大人になるにつれて忘れてしまう姿を表しているようにも読めます。

この「meta」という言葉があるからこそ、この曲そのものも「意味」を考えたくなる作品なのかもしれません。

歌詞に散りばめられた軍事を連想させる要素

メルヘンで明るいMVに隠された戦争要素をあくまで筆者なりの視点で見ていきます。もちろん、製作者から「こう意識した」などではなく、あくまで筆者の推測であり、一つの読み方としてご覧ください。

わたあみタイガー

不確定ですが、ナチス・ドイツで開発されたタイガー戦車を暗示していると思われます。実際に、このMVには戦車が多く登場します。

画像はYouTubeよりキャプチャ

ガラスのうさぎ

「ガラスのうさぎ」という言葉から、戦争児童文学『ガラスのうさぎ』を連想する人も多いでしょう。

東京大空襲を題材にした作品として知られており、「かわいいうさぎ」という響きとは裏腹に、戦争の悲しさを描いた作品です。

画像はYouTubeよりキャプチャ

背景のキノコ雲

キノコ雲と言えば原爆の象徴ですね。

画像はYouTubeよりキャプチャ

トロイの木馬

木馬といえば子どもの遊具ですが、「トロイの木馬」は古代ギリシャ神話に登場する戦争の逸話です。

子どもの遊び道具と、戦争の象徴。上手い対比ですね。

画像はYouTubeよりキャプチャ

キズネコトム

「ネコ」とかわいい名称で誤魔化されつつも、ファンの間ではアメリカ海軍のF-14戦闘機「トムキャット」と考察されています。実際、戦闘機の描写が見られます。

画像はYouTubeよりキャプチャ

ミサイルなんて向けないで頂戴

そして最後に歌われるのが、

ミサイルなんて向けないで頂戴

というストレートな一節です。

それまで人形やおもちゃの世界を描いていた楽曲だからこそ、この歌詞の重みが際立ちます。

この一節をどう受け止めるかは人それぞれですが、少なくとも「兵器」という現実の言葉が、おもちゃ箱の世界へ突然入り込むインパクトは非常に大きいと感じます。

しかし、「子どもの頃のように笑っていられる世界であってほしい」という願いが込められているように感じられます。

画像はYouTubeよりキャプチャ

かわいい曲だからこそ、心に残る

この記事の考察はすべて筆者の考察なので、制作者が「こう意図して入れた」というものなのかはわかりません。

ただ筆者の目線で見ると、『トゥイー・ボックスの人形劇場』は、かわいらしい曲調とメルヘンなMVに象徴される「平和で楽しい日々」戦争によって脅かされる様子を表現しているようにも見えます。

筆者は最初に見たときに鳥肌が立ちました。

今年も8月を迎えました。広島長崎、そして終戦の日へと続くこの時期に、『トゥイー・ボックスの人形劇場』を聴きながら、「平和とは何か」「子どもの頃に当たり前だった笑顔とは何だったのか」を少しだけ考えてみる――そんな時間を過ごしてみるのも、この楽曲の楽しみ方の一つかもしれません。

2025年にRemaster ver.に

『トゥイー・ボックスの人形劇場』は2025年に「Remaster ver」として、2013年に最初に投稿された動画からマイナーチェンジした動画が公開されました。見比べてみても面白いので、ぜひこちらも見てみてください。

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