米粉でパン作りをしたことがある方なら、「小麦粉ではふわっと膨らむのに、米粉だとうまくいかない…」と思ったことがあるのではないでしょうか。
私自身、米粉でパンを作ったときには少ししか膨らまず、食感もパンではありませんでした…。
「発酵がうまくできなかったのか」「パン作りは向いていないのか」と思った方もいるかもしれません。でも、違うんです。米粉パンが小麦粉パンのように膨らみにくい背景には原料の違いがあります。ただし、加水量、混ぜ方、発酵、温度管理、焼成条件も仕上がりを左右します。
米粉パンをふっくらとおいしく作るために、米粉パンに適した新品種の一つとして「ゆきふわり」が育成されました。
「ゆきふわり」は、「ひとめぼれ」など一般的なうるち米よりやや高いアミロース含量を持ち、製パン向けの米粉としての適性が確認されています。アミロース含量が極端に低い米では焼成後にパンの側面がへこんで膨らみを保ちにくいことがあり、極端に高い米では生地が硬くなりやすいため、適度な範囲のアミロース含量が膨らみと食感の両立に寄与します。

アミロースって何?
パン作りとどう関係しているの?
今回の記事では、「ゆきふわり」が米粉パンに適している理由を小麦粉パンと米粉パンの膨らみの違いを踏まえながら解説していきます。
パンが膨らむ基本の仕組み
米粉パンの膨らみには、グルテンが形成されないことや、アミロース含量が関係します。ただし、混ぜ方、発酵、温度管理、焼成条件も重要です。
まずは、パンがどうやって膨らむのかを整理しておきましょう。
パンは、イースト(酵母)が発酵することで発生する二酸化炭素(ガス)によって膨らみます。
- イーストが糖を分解する
- 二酸化炭素(ガス)が発生する
- 生地の中に二酸化炭素(ガス)ガスがたまる
- 生地が膨らむ
ここで重要なのが、 ガスを閉じ込める「構造」があるかどうかです。
小麦粉パンがよく膨らむ理由

小麦粉に水を加えて混ぜることで、グルテンが作られます。このグルテンは網目状の構造になっています。
この構造によって、イーストによって発生した二酸化炭素(ガス)を包みます。小麦粉パンではこのグルテンが、発酵ガスを逃がさず閉じ込める役割を果たしています。二酸化炭素(ガス)を閉じ込めることで生地は膨らみます。そして、生地を焼くことで膨らんだ状態を保つことができます。
米粉パンが膨らみにくい理由
一方で、米粉には大きな違いがあります。米粉100%で小麦由来グルテンを添加していないパンでは、米粉パンにはグルテンが含まれていません。
米粉に水を加えて混ぜても小麦粉のようなグルテンができません。米粉100%パンでは、生地の撹拌、発酵温度、発酵時間、焼成開始のタイミングを適切に管理しないと、柔らかい生地がつぶれてしまうことがあります。米粉100%パンでは、デンプン粒が発酵ガスと水の界面を安定化することで、グルテンがなくても気泡が保持されると考えられています。

米粉パンが小麦粉パンのように膨らみにくい大きな理由の一つは、グルテンが形成されないことだったんだね。

もう一つの違いは、「ゆきふわり」が一般的な「ひとめぼれ」などのうるち米より高いアミロース含量を持っていることなも。
デンプンの性質の違い

米のデンプンは主にアミロースとアミロペクチンから構成されます。一般に、アミロース含量が低い米は粘りが強く、高い米は粘りが弱くなります。
特に重要なのはアミロースです。アミロースは「生地の固まり方」に関係しています。アミロース含量は、生地や焼成後のパンの硬さ、形状保持、型崩れの起こりやすさに関係します。低すぎると柔らかくなる一方で形状を保ちにくく、高すぎると形状は保ちやすいものの硬くなりやすいため、適度な範囲が重要です。(アミロース含量とパンの性質の関係は、米粉の製粉方法、配合、加水量、発酵・焼成条件によって変わります。)
米粉パン用の品種で作られた「ゆきふわり」は、「ひとめぼれ」などの一般的な食用品種よりやや高いアミロース含量を持ち、製パン向け米粉としての適性が確認されている品種です。
米粉パン向けの品種には「ゆきふわり」以外にも、「ミズホチカラ」と「笑みたわわ」があります。この二つもパンの膨らみにちょうどいいバランスでアミロースの量が調整されています。

粉に含まれている成分の違いもあったんだね。
じゃあ、パン向きの米粉じゃなきゃパンを作っても膨らまないのかな。

そんなことないなも。
ひと工夫すれば、普通の米粉でも膨らみやすくなるなも。
パン専用でない米粉でも膨らませるコツ
米粉パンを作ろうと思って買った米粉が、まだ残っていても大丈夫です。ここまで読むと、「普通の米粉ではパンを作っても膨らまないのでは」と心配になった方もいるかもしれません。
しかし、普通の米粉でも工夫次第で膨らみやすくなります。普通の米粉はグルテンが作られないだけでなく、パンに適したアミロースのバランスになっていない場合があります。
片栗粉やおからパウダー、卵や油、水を補助材料として使うことによって生地の粘度や気泡保持性を改善できる場合があります。ただし、これらはグルテンやアミロースそのものの代替ではありません。
米粉パン専用の米粉以外で作る米粉パンのレシピ
材料(1斤型または小さめ型1台分)
- 米粉……200g
- 片栗粉…………………………30g
- 砂糖……………………………15g
- 塩………………………………3g
- ドライイースト………………3g
- 卵………………………………1個
- 水………………………………180ml
- サラダ油………………………10g
作り方
① 材料を混ぜる
ボウルにすべての材料を入れ、泡立て器やゴムベラでよく混ぜます。ダマがなくなるまでしっかり混ぜます。(こねる必要はありません)
② 発酵(1次発酵)
生地を型に流し込み、ラップや濡れ布巾をかけて発酵させます。25~30℃の室温で30分~40分おきます。生地が約1.5倍になることを目安にしてください。(発酵時間は目安です。室温、酵母、米粉、型の大きさによって変わるため、生地の高さや表面の状態を確認してください。発酵させすぎると、焼成後にへこむ場合があります。)
③ 焼成
180℃に予熱したオーブンで30~35分焼きます。表面が焦げそうな場合は、アルミホイルをかぶせます。
④ 完成
焼きあがったらすぐ型から外し、粗熱を取ります。
※この配合は一例です。米粉の種類や型によって加水量・発酵時間・焼成時間を調整してください。
参考資料:農研機構①、奈良女子大学 食品料理科学研究室、農研機構②、グレイプ、富澤商店、クスパ、米粉タイムズ
まとめ
米粉パンの膨らみには、小麦粉のようなグルテンが形成されないことに加え、米粉のアミロース含量が関係します。
米粉パン向け品種では、アミロース含量や製粉特性が製パンに適するよう選抜されています。「ゆきふわり」は、白米アミロース含有率が18~20%程度で、「ひとめぼれ」よりやや高く、製パン用米粉としての適性が確認されています。
パン向きでない米粉でも、米粉の種類に合わせて加水量や製法を調整し、片栗粉、おからパウダー、卵、油などを補助材料として使うことで、生地の粘度や気泡保持性を改善できる場合があります。ただし、これらはグルテンやアミロースそのものの代替ではありません。
こんなパンも
以下の記事ではホットケーキミックスで焼いて作る「天使のパン」が写真付きで分かりやすく説明されています。
こちらのパンもぜひ作ってみてください。



