2026年は10月に入り、台風28号が発生しました。そんな中、ハリケーンが台風になったというニュースがありました。

このニュースを見たとき「ハリケーンって台風になるの?」「ハリケーンと台風って別ものじゃないの?」と疑問に思いませんでしたか?
この記事では、ハリケーンが台風になった理由とともに、台風・ハリケーン・サイクロンの違いについて解説します。
ハリケーンが台風になる理由
ハリケーンが台風になるのは、熱帯低気圧の場所が変わるからです。ハリケーンも台風も、どちらも暖かい海の上で発達する「熱帯低気圧」であり、現象としては同じものです。違いは「どの海域にあるか」によって呼び名が変わる点にあります。
地球上の海は、熱帯低気圧を管理するためにいくつかの担当エリアに分けられています。たとえば、北大西洋や北東太平洋ではアメリカの気象機関(NOAAなど)が監視し、この地域では強い熱帯低気圧を「ハリケーン」と呼びます。一方、日本を含む北西太平洋では気象庁などが担当し、この地域では同じ現象を「台風」と呼びます。
この2つのエリアの境目のひとつが「日付変更線(経度180度付近)」です。ハリケーンが西へ進んでこの線を越えると、担当する気象機関が切り替わり、呼び名も「台風」に変わります。つまり、風の強さや構造が急に変わるわけではなく、海域が変わることで、地域ごとの分類や呼び方が変わるのです。過去にもハリケーンが台風に変わった事例があり、直近では2023年8月に発生しました。
「ハリケーン」という分類が「台風」に変わりますが、今回のノロのように、ハリケーンとして付けられた名前そのものは引き継がれる場合があります。

ハリケーンと台風って場所が違うだけで、あとは同じなの?
ハリケーンと台風、そしてサイクロンはいずれも熱帯低気圧の仲間ですが、各地域ごとに呼び名の基準が決められています。ここでは代表的な基準を説明します。
ハリケーン・台風・サイクロンの定義
ハリケーン・台風・サイクロンはいずれも熱帯低気圧の仲間で、地域によって呼び方や基準が異なります。

ハリケーン
ハリケーンは北大西洋、カリブ海、メキシコ湾、北東太平洋などで最大風速がおよそ33m/s以上になった熱帯低気圧を指します。アメリカの気象機関などが、この地域の熱帯低気圧を監視しています。
ハリケーンにも強さのレベルがあります。アメリカでは「サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケール」という基準を使い、カテゴリー1~5の5段階で強さを表します。カテゴリー1が最も弱く、カテゴリー5が最も強い分類です。ただし、この分類は風の強さを基準にしたもので、高潮や大雨、洪水、竜巻などの危険性は含まれていません。
台風
台風は北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)と南シナ海に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速がおよそ17m/s以上になったものを指します。日本の気象庁などが監視しています。
日本では、台風の強さを最大風速によって「強い」「非常に強い」「猛烈な」の3段階に分けています。なお、「大型」「超大型」は台風の強さではなく、強風域の広さを表しています。そのため「大型で強い台風」のように、大きさと強さを組み合わせて表現することがあります。
サイクロン
サイクロンは、主にインド洋や南太平洋などで使われる熱帯低気圧の呼び方です。サイクロンの発生する地域は広く、基準や命名方法は地域によって異なります。インド気象局やフランス気象庁などが、それぞれの担当海域を監視しています。
ハリケーンや台風とは違い、サイクロンの強さの分類も地域によって異なります。たとえば、オーストラリア周辺ではカテゴリー1~5で強さを分類しており、カテゴリー5が最も強い分類です。一方、北インド洋では「シビア・サイクロニック・ストーム」や「スーパー・サイクロニック・ストーム」など、カテゴリーとは異なる分類方法が使われています。
ただし、ハリケーンと台風では風速の測定方法が異なります。気象庁は10分間平均、アメリカでは1分間平均を使うため、17m/sと33m/sを単純に比較することはできません。


ハリケーン、台風、サイクロンは名前の付け方にも違いがあるなも。
ハリケーン・台風・サイクロンの名前の付け方
もう一つの違いとして「名前の付け方」も挙げられます。
ハリケーンは、あらかじめ用意されたアルファベット順の名前リストから順番に名前が付けられます。このリストは、QとUを除く男性と女性の名前が一覧表となっています。特に大きな被害をもたらした名前は、将来同じ名前が使われないよう「引退」する仕組みがあります。
台風は、その年に発生した順番で「台風○号」と番号が付けられ(毎年1月1日からリセット)、加えてアジア各国が提出した名前リストから名称が割り当てられます。台風の名前は繰り返し使われますが、大きな災害をもたらした台風の名前は以後の台風に使われない場合があります。
サイクロンはインド洋や南太平洋など複数の海域で使われる呼び方なので、海域ごとに命名ルールが異なります。
例えば、インド洋のうち、ベンガル湾とアラビア海では、WMO(世界気象機関)とESCAPのパネルが作った名前リストを使用しています。そのリストの中から順番に名前を付けていきます。北インド洋では、いったん使用した名前は原則として再利用しません。また、南西インド洋でもあらかじめ名前のリストが用意されていますが、この地域ではアルファベット順に名前を使用します。ただし、すでに別の海域で名前が付けられた熱帯低気圧が移動してきた場合には、元の名前をそのまま維持する場合があります。
参考資料:ヤフーニュース、tenki.jp、気象庁①、キッズネット、そらくら、世界気象海洋情報警報サービス、JAXA、気象庁②、トラベルドンキー、IMD Pune、気象庁③、はれるんライブラリー、ETC英会話、WMOコミュニティ、世界気象機関①、世界気象機関②
まとめ
ハリケーンが台風になる理由は現象が変わるからではなく、熱帯低気圧の場所が変わるからです。熱帯低気圧は世界共通の自然現象ですが、基準や各地域で管理体制が異なるため、呼び名が変わる仕組みになっています。
ハリケーンが西へ移動して北西太平洋の海域に入ると、台風と呼ばれることがあります。一方、南半球で発生したサイクロンが赤道を越えて北西太平洋まで移動することは難しいため、サイクロンから台風へ呼び方が変わる可能性は低いと考えられます。
ハリケーン・台風・サイクロンはいずれも同じ仲間ですが、発生する地域と風速の基準、名前の付け方に違いがあります。この仕組みを知っておくと、ニュースで使われる「台風」「ハリケーン」「サイクロン」という言葉も、より理解しやすくなるのではないでしょうか。
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今回の記事で登場した「コリオリの力」については以下の記事で解説されています。
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