【『1984年』と『メタルギアソリッド2』から】今の「AI社会」で私たちはどう働くか?

【『1984年』と『メタルギアソリッド2』から】今の「AI社会」で私たちはどう働くか? スキルアップ・学び

はじめに

近年、AI(人工知能)の技術が飛躍的に発展し、私たちの生活や仕事の在り方はかつてないほど大きな変化を迎えています。
生成AIと呼ばれる、文章や画像、音声などを自動で生成する技術は、すでに多くの業界で活用され、日々の業務効率化や新しい価値創出に貢献しています。

しかし、その一方で私は複雑な思いを抱かずにはいられません。
私はかつて精神的に疲弊し、社会のレールから外れ、長年引きこもった経験があります。
その中で感じた孤独や不安、そして社会に取り残されるという感覚は、今のAI社会の波に押し流されてしまうような危機感と重なって見えたのです。

現在は就労継続支援事業所に通い、生成AIを使った仕事に取り組みながら、少しずつ社会と関わる時間を増やしています。

その中でふと、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』とゲーム『メタルギアソリッド2(MGS2)』の世界が思い浮かびました。

この二つの作品は、情報統制や監視、そして「真実の消失」をテーマにしたディストピア的な物語であり、現代の私たちの社会に対する警告のように感じられます。

今回は、私自身の経験とこれらの作品の世界観を重ね合わせながら、今の「AI時代」の働き方と生き方について考えをまとめてみたいと思います。

※本記事では、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』およびゲーム『メタルギアソリッド2(MGS2):サンズ・オブ・リバティ』の内容に触れています。
特に物語の中核的なテーマや展開についても記述が含まれますので、未読・未プレイで作品を純粋に楽しみたい方は、ご自身の判断でお読み進めください。

「どんな情報を受け取るか」も、あなた自身が選ぶ自由の一部です。

引きこもりだった私の現実

引きこもっていた頃、私は誰とも会話をしませんでした
他人と関わる必要も緊張感もなく、ただ時間だけが静かに、でも確実に過ぎていきました。

ジャンクフードでお腹を満たし、柔らかい布団に寝転がってスマホをいじる。
そんな一見「快適」な空間の中で、私は深い虚無感と焦燥感を抱いていました。

ニュースを見ては不安になり、SNSで他人の幸せそうな投稿を見ると劣等感に飲まれ、
時には「自分には価値がない」「消えてしまいたい」とまで思う。

自分と同じような境遇の人の存在に安心し、
自分よりつらそうな人を見つけると少しホッとしてしまう。
気づけば、そうした情報だけを探して読むようになり、
いつのまにか「見たい情報しか見ない」状態に陥っていました。

「自分だってやればできる、本気出してないだけ」と言い聞かせながら、
成功している人への嫉妬やひがみを感じ、
他人を批判するネットのコメントを外から見て「もっとやれ」と思う自分がいました。

情報は希望にもなるけれど、時に人を深く傷つけ、壊すものにもなる。
この頃の私は、それを痛いほど体感していました。

『1984年』とは何か?―全体主義社会の恐怖

『1984年』は1949年にイギリスの作家ジョージ・オーウェルによって書かれたディストピア小説です。

物語の舞台は“オセアニア”という架空の全体主義国家。
そこでは、ビッグ・ブラザーと呼ばれる権力者が国民を徹底的に監視し、情報を都合良く操作しています。

人々の生活は「テレスクリーン」と呼ばれる監視装置で24時間見張られており、国の方針に反する言動は厳しく取り締まられます。
さらに過去の記録やニュースは政府の都合に合わせて書き換えられ、誰も本当の歴史や真実を知ることができません。

(写真 Canva)

この作品は、「監視社会の恐怖」「言論や歴史の操作」「個人の自由の消失」といったテーマを通じて、未来の社会に警鐘を鳴らしています。

主人公ウィンストンは、その不自然さに気づき始め、「本当の自由とは何か」「真実とは何か」を模索しますが、その先に待っていたのは、徹底的な管理と支配でした。

この作品は、「個人の意思が奪われ、情報が操作される社会」の恐ろしさを描いています。

『メタルギアソリッド2』とは何か?―情報操作とAI支配の未来

『メタルギアソリッド2(MGS2):サンズ・オブ・リバティ』は、2001年にコナミから発売されたアクションゲームの名作です。
METAL GEAR PORTAL SITE – メタルギア公式サイト (KONAMI)

この作品は単なるステルスゲームに留まらず、深い社会批評や哲学的な問いを投げかけています。

物語の後半では、現代社会の情報の洪水と混沌をAIが管理し、無数の情報の中から「人々に見せるべき情報」だけを選び取ることで社会の秩序を保とうとしていることが明らかになります。

このAIは「情報のノイズが多すぎて、本当に重要なものが見えなくなってしまう」と語り、
それゆえに「必要な情報だけを伝え、人間の思考をコントロールしよう」としているのです。

これは、SNSやフェイクニュース、デジタルメディアの氾濫によって情報の取捨選択が難しくなった現代社会に、まるで予言のように重なります。

(写真 Canva)

私が引きこもっていた頃、ネットの世界もまさにそうでした。

膨大な情報の中で、私は自分の見たいものだけを見て、自分に都合のいい世界を作っていました。

でもそれは“自由”ではなく、“逃避”であり、統制された”仮初めの自由”だったのかもしれません。

こうして振り返ると、引きこもっていた当時の私は、情報やネットとの関わり方において、すでに“AI的な世界”の一端にいたのかもしれません。
アルゴリズムが選んだ動画や記事、SNSの投稿に囲まれ、私はそれを「自分が選んでいる」と信じて消費していました。
でも実際は、無意識のうちに誘導され、安心できる情報ばかりを追い求める“心地よい監視”の中にいたのです。

その頃の私は、AIを「遠い未来の技術」だと思っていました。でも今思えば、すでに私たちはAIやアルゴリズムと共に生きていたのだと感じます。

そして現在、私は支援を受けながら、生成AIを活用した仕事に関わっています。かつて情報に振り回されていた私が、今はその情報を“扱う側”になっている。

このギャップには、正直戸惑いもあります。けれど同時に、過去の経験があるからこそ「情報やAIとどう付き合うべきか」を自分の頭で考えるようになりました。

私にとっての情報とは?

私が精神的に病み、社会から離れていた引きこもりの時期、情報は時に私の心にとって暴力のようなものでした。

スマホやパソコンから流れてくる情報の多さに圧倒され、「みんなは普通に働き、生活しているのに、なぜ自分だけできないのか」という焦燥感と自己否定に苛まれました。

SNSではキラキラした生活を見せる人たちが溢れており、その比較によって自分がますます孤独で価値のない存在に思えてしまうこともありました。

情報の海に溺れ、本当に大切なものや自分の本音が見えなくなってしまう感覚は、まさに『MGS2』のAIが言う「情報のノイズ」に近いものでした。

(写真 Canva)

この経験から、情報はただ便利で価値あるものだけでなく、時に心を蝕み、社会からの断絶を生み出す危険な力を持っていると強く実感しています。

そして今振り返ると、私は情報を「自分の意志で」選んでいるつもりで、実は都合の良いように選ばされていたのではないかとも思います。

アルゴリズムが見せたい断片だけを浴び続けるうちに、私の世界観や価値観さえも気づかぬうちに誘導されていた――まるで自分が主体的に選んでいるように錯覚しながら。

そのことに気づいたとき、私にとって情報は、ただの道具や知識ではなく、無意識のうちに私を形作る「見えない手」でもあったのだと痛感しました。

『1984年』『MGS2』の教訓とこれから

『メタルギアソリッド2(MGS2)』には、登場人物が「自分の生き方を自分で選ぶことの大切さ」に触れる場面があります。そのやりとりを通して、私は深い印象を受けました。

AIが進化し、膨大な情報に囲まれる現代社会では、何を信じ、どの道を選ぶのかを自ら判断する力がますます重要になっています。たとえ情報が操作され、監視が強まるような状況でも、自分の意思や価値観を持って生きることの意義を、改めて考えさせられました。

『1984年』や『MGS2』が描いているのは、もはや遠い未来の話ではなく、私たちが直面しつつある現実に近い問題です。監視社会、情報操作、情報過多による混乱──これらは技術の進歩に伴う副作用とも言えます。

しかし、技術そのものは中立です。その使い方次第で、社会のかたちは変わります。AIをただ恐れるのではなく、どう活用し、共に生きていくかを考えることが、これからの私たちに求められています。

そして、私のように一度社会の外にいた人間でも、支援を受けながら新しい技術と共に働ける時代が訪れています。

選択する自由がある今、自分自身の手で未来をつくることが、私たちに託された大きなテーマなのかもしれません。

まとめ:未来は私たちで選ぶもの

この記事は、就労継続支援事業所で生成AIを活用する私の経験と視点から、『1984年』と『メタルギアソリッド2(MGS2)』を通じて感じた現代社会の課題と希望について書いたものです。

この記事を読んでくださった方の中にも、情報の多さに疲れ、自分の居場所や働き方に迷いを感じている方がいるかもしれません。

ですが、忘れてはいけないのは、
「私たちは自分の生き方や働き方を選ぶ力を持っている」ということです。

AIの時代だからこそ、自分の価値観を大切にし、自分にしかできないことを見つける努力を続けていきたいと思います。

私たち一人ひとりの選択が、未来の社会をより良いものに変えていくのだと信じています。

AIや情報技術の進展は止められませんが、それをどう活用し、どんな社会を作るかは私たち次第です。

これからも一緒に考え、学びながら、より良い働き方、生き方を探求していきましょう。

そして、次の問いに胸を張って「はい」と答えられる日が来ますように…。

あなたは、日々の情報を“自分で選んでいる”と思っていますか?

さいごに:働く場所も「自分で選べる」時代へ

私が現在通っている メジャーサポートサービス浜松事業所 は、静岡県浜松市にある 就労継続支援A型事業所 です。ここでは、体調やスキルに応じて自分のペースで働くことができ、私のように一度社会から離れた人間でも、安心して再スタートを切ることができました。

取り組む仕事も多岐にわたっており、梱包などの軽作業から、データ入力、ECサイトの運営補助、SNS投稿、記事のライティングやデザイン制作、Webサイト構築まで、さまざまな分野に挑戦することが可能です。未経験でもスタッフの丁寧なサポートがあり、自分の「得意」や「好き」を活かしながら、少しずつ成長していけます。

また、通所だけでなく 在宅勤務 にも対応しているため、体調や生活スタイルに合わせて働き方を選べるのも大きな魅力です。

もし、今の働き方や社会との関わり方に悩んでいる方がいたら――まずは、自分に合った環境を“知る”ことから始めてみてください。

メジャーサポートサービス浜松事業所 では、見学や体験利用も随時受け付けています。不安なことがあれば、スタッフが丁寧にサポートしてくれるので、安心して一歩を踏み出せます。
自分に合った働き方を、自分で選ぶ時代。
その一歩を、ここから踏み出してみませんか。


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