最近大きな話題となっているツールとして最もアツいのが、動画生成AI「Sora2」ではないでしょうか。ご存じChatGPTのOpenAIが開発したAI動画です。
もちろんOpenAIが開発したという使いやすさもあるが、なんといってもクオリティがハンパなく高く、もはや3DCGの技術者を大量退職させるほどのレベル。
だが、そのクオリティの高さゆえに、とんでもない問題が起きています。それは、大量に有名キャラクターが量産されている状態となっているのです。
※アイキャッチ画像はCanvaより
生成AI「Sora2」は何をもたらしたか、問題顕在化のきっかけ
近年、文章生成AI、画像生成AIが急速に普及してきたのは皆知っているでしょう。
それに先駆けて、OpenAIが「Sora」という動画・音声生成AIを世に出し始めました。Soraは、テキストプロンプト(指示文)を元に、映像と音声を同時に生成できる能力を持っており、これまで専門的な撮影・編集が必要だった映像制作のハードルを大きく下げうる技術です。
そしてその「Sora」最新版「Sora2」は、とんでもないクオリティで世の中を震撼させております。
Sora2では、「悟空」「ピカチュウ」など明らかに版権キャラクターのような映像がユーザー投稿され始め、著作権侵害をめぐる疑念が表面化。
特定の著作権者(たとえば映画会社やアニメ制作会社)が「自分のコンテンツをSora内で使われたくないならオプトアウトせよ(除外申請をせよ)」という方式を OpenAI が採るという情報も出ております。
Sora2と著作権のめっちゃヤバい逆転革命

なぜこのようなことが起きるのか。生成AIは多くの既存作品を訓練データとして使う可能性があり、それらに無断で似た構図やキャラクター表現を“模倣”して生成することで、著作権侵害とみなされかねない。一見「オマージュ」や「リミックス風」でも、著作権者から見ると無断複製・派生利用になり得ます。
この現象は在宅ワーカーであっても無関係ではない。自分で動画素材を作る、動画編集を請け負う、あるいはAI支援で映像コンテンツを制作する立場には、リスクが潜む。そして、「何が著作権侵害になるか」が今まさに揺らいでいる。この混乱の中で、安全に活動するにはどうすればいいか、次にせつめいします。
在宅ワーカーとして直面しうるリスクと落とし穴
在宅で動画や映像まわりの仕事をしている人が直面するであろうリスクを、具体例とともに挙げる。面倒だけど、無視すると訴訟/クレームで人生が面倒になる。
※Sora2で作成されたと思われる、動画の一例。
1. 「似てる」だけでアウト判定されるリスク
たとえ完全に一致するキャラクターではなく、「雰囲気」「流れ」「動き」が似ているだけの作品でも、著作権者が「派生作品だ」と主張すれば争点になります。
特に、アニメ風の動き、独特の服装・カラーリング、特徴的な必殺技ポーズなどを模倣すると目立つ。実際、「ドラゴンボール風」「ナルト風」といった映像がSoraで投稿されている例も報じられています。
2. 使用素材の権利不明、ライセンス抜けがある
自分が持っているフリー素材・有料素材・購入素材・ストック素材でも、ライセンス条項をきちんと読み込んでいないと、「商用不可」「二次利用不可」「改変禁止」といった制限があるものを使ってしまう可能性があるのです。
AIに素材を「入力(アップロード)」して、それを元に加工・合成させるような使い方は、素材の権利範囲を超える使われ方になるかもしれない。Soraの仕様として、規約上「著作権を持たない他者の画像・動画をアップロード不可」と明記されている例も報じられています。
3. 肖像権・パブリシティ権、モデル契約を無視
人物を含む動画生成や顔写真利用には肖像権(人の顔や姿を映す権利)およびパブリシティ(有名人の名前・イメージの商業利用権)が絡みます。
本人の許諾なしに著名人風の映像を作れば、肖像権侵害/名誉権侵害/パブリシティ権侵害のリスクになる。Sora側もこれを防ぐため、人物アップロードや有名人映像生成を制限するような仕様を設けている、という報道があります。
4. 契約上・発注先・クライアントとの責任所在のあいまいさ
在宅ワーカーがクライアントから「映像作って」等で請け負うとき、どこまで権利クリアを保証するか、その範囲を明文化しておかないとクレーム/訴訟追及が来る。たとえば、「キャラクター風映像を作って」と頼まれて、それが版権キャラクターに似ていた場合、「いや、似てるだけです」と言っても法的に通るかどうかはグレー。
契約段階で「第三者権利を侵害しないこと」「万一訴訟が来たら(賠償金・弁護士費用含めて)どちらが責任を取るか」を明確にしておくべきです。
安全に使うための判断基準と実践方針
リスクだらけに見えるが、在宅ワーカーとして被害を最小化しつつ、生成AIを使えるようにする道はあります。以下のように気を付ければよいかと思います。
A. 「完全オリジナル」にこだわる
最も安全なのは、自分で素材(写真・動画・音など)を撮影・録音したもの、またはライセンス的に明確に許可されている素材を用いること。
たとえAI支援で編集・加工をするにしても、素材の起点が合法であれば侵害リスクは下がる。
B. 明示的な許諾取得
クライアントからキャラクター・映像・イラスト素材を支給される場合、「この素材で映像を生成・編集していいか」「二次利用・改変を許可するか」を契約書・書面で確認・取得する。特にキャラクター性の強い素材だと追加の権利処理が必要なこともある。
C. 類似表現を避ける工夫
いくらリミックス・パロディ性を主張したとしても、版権者が不快に思えば訴訟を起こす可能性はある。だから、「キャラクター風」表現をするなら、色、衣装、動き、シルエットなどオリジナル要素を入れる、似せすぎないようにするなどの工夫を常に意識する。
D. 権利チェックプロセスを入れる
制作ワークフローに「権利チェック工程」を入れておく。たとえば、最終案をクライアントに提示する前、あるいは納品前に「この作品に、第三者権利を侵害する要素はないか」をチェックリスト化して点検する。疑問点があるなら著作権専門家に相談するか、使用を控えるようにする。
E. 契約条項でリスク分配
クライアントとの契約で、次のような条項を入れるとよい
- 「第三者権利侵害があった場合の賠償責任はクライアント側が多少引き受けるものとする」などリスク分配
- 「使用素材は合法であることを保証する」「必要な許諾を取得していることを保証する」旨の文言
- 万一訴訟になった場合の弁護士費用補填条項(費用負担)を明記
F. 生成時・出力物に注意
- AIに「既存キャラクター名をそのまま使って映像生成」というプロンプトを入力しない
- 出力された映像をそのまま流用せず、リファイン・加筆・修正を施してオリジナル性を持たせる
- 映像を公開・商用利用するなら、最終的な許諾・リスクチェックをクリアしてから行う
G. 情報アップデート・学習を怠らない
生成AI・著作権法・判例は激しく動いている。最新ニュースや裁判例をウォッチし、自身の守備を更新し続けなければならない。たとえば、Soraを巡る最近の議論でも、OpenAIが著作権者に「オプトアウト方式」を提案している点が批判されています。
在宅ワーカーとしての備えと行動指針
生成AIは在宅ワークの効率を劇的に変えうる可能性を持つ一方で、著作権・権利問題という地雷原も併せ持つ。特にSoraのような最新技術は、判例やルールが整っていない段階での過渡期だから、リーガルリスク判断が難しい。
在宅ワーカーとして生き残りたいなら、次のようなマインドと運用を習慣化すべきです。
まとめ(注意点リスト)
項目 | 注意点 |
---|---|
素材元の合法性 | 自作かライセンス許可済み素材に限定する |
明示的許諾 | クライアント・発注元から改変・生成の許可を確保 |
類似表現回避 | 版権キャラクター風にならぬよう差別化を図る |
契約条項 | リスク分配、保証条項、費用負担を明文化 |
生成/出力運用 | 単なるAI出力のまま使わず、手を入れてオリジナリティを加える |
権利チェック工程 | 制作の途中・最終段階で権利侵害リスクを点検する |
情報更新 | 最新のAI動向・著作権判例を常時ウォッチする |
やはり生成AIの問題点としては、作成されたものが、はたして著作権クリアされているのかという点です。もちろん直球ドストレートに、〇〇のと著作物を指定すればアウトですが、それっぽい作品も以前から問題となっております。
たとえば、ジブリっぽいものも、「ジブリっぽい」だけで「ジブリ」ではないのでセーフとされている。しかしそのラインもだんだんと分かりにくくなっていくことでしょう。
そして、そもそも、誰が作ったのか、本家なのか偽物なのか、区別がつかなくなっていくことが予測されます。
GoogleGeminiでも様々なフィギアを作れるということで、ネットで大きな話題となりました。
そのような問題に巻き込まれぬよう、著作権の意識は今から高めておくことが大事です。