はじめに
(アイキャッチ画像はApple公式より)
在宅ワークが増えてくると、仕事環境の“音”や“集中”に悩むことが多くなります。
静かな場所で仕事ができる人ばかりではなく、家族の声、生活音、外の交通音などが気になることも。
特に、聴覚の敏感さがある方や集中力を保つことに工夫が必要な方にとって、イヤホンやヘッドホンの「ノイズキャンセリング(ANC)」機能や装着感の良さは、仕事の質や疲労感に直結します。
Appleが新たに発表した AirPods Pro3 は、これまでの Pro2 に比べて、ノイズキャンセリングや装着性、耐久性、健康機能などが強化されています。
この記事では、在宅ワークで使う視点から、Pro2との比較を交えつつ「どこが/どのように進化したか」「日々の作業でどう活用できるか」を具体的に見ていきます。
1. AirPods Pro3 の主な新機能と強化ポイント
1.1 ノイズキャンセリング(ANC)が2倍に
AirPods Pro3 では、プロモーションで「Pro2 に比べて ANC が 約2倍(twice the active noise cancellation)」に強化されたとされています。
在宅で外の音(車、工事、家族の声など)が入ってくるような環境では、この強化は集中力を保つのに大きな差になります。
1.2 装着感の改善とフォーム入りイヤーチップの追加
- 新しい「フォームインフューズド(foam-infused)」のイヤーチップが採用され、遮音性(パッシブノイズ)とフィット感が向上しています。
- イヤーチップのサイズが5種類に(新たに XXS サイズも追加)となっており、より多くの耳の形に合いやすくなっています。
- 本体自体も Pro2 より小さく、体に近い重心設計に改良されており、「落ちにくさ」「疲れにくさ」が改善されているとされています。
1.3 防塵・防水性能の向上(IP57)
Pro3 は IP57 等級の防塵・防水性能を持っています。
汗・水滴・ちょっとした濡れ・ホコリなどが入りにくくなり、日常での耐久性がアップ。
在宅ワークで「あ、ペットが水をこぼした」「汗をかいた」など意外な場面でも安心度が増します。
1.4 心拍数センサー & ワークアウト Buddy
- AirPods Pro3 は 光学式フォトプレチスモグラフィー(PPG) センサーを搭載し、心拍数を計測できるようになりました。
- iPhone と連携し、最大 50種類のワークアウト を記録可能。消費カロリーや Moveリング(アクティビティの指標)との統合も。
- 「Workout Buddy」という新しい機能もあり、過去のフィットネス履歴などからモチベーションを保つサポートがされるようになっています。
1.5 ライブ翻訳(Live Translation)
在宅ワーカーでも、国際チームとのミーティングがあったり、英語や他言語の資料や音声を聞き取る必要があったりすることがあります。
Pro3 では Live Translation(ライブ翻訳) 機能が搭載され、Apple Intelligence と組み合わせて、会話形式で別言語を理解/対話することが可能になりました。
※日本語には2025年末までに対応予定とのことです。待ち遠しいですね!
1.6 バッテリー持続時間の改善
- Pro3 では ANC 使用時で約 8時間 の連続使用が可能、これは Pro2 の同条件下より改善しています。
- ケース込の総持続時間も改善見込み。
2. Pro2 との違い:比較でわかる改善点・注意点
項目 | AirPods Pro2 | AirPods Pro3 | 主な改善点/注意点 |
---|---|---|---|
ノイズキャンセリング(ANC) | 高性能/標準レベル | 約2倍に強化 | 周囲のノイズの打ち消し性能が特に静音環境で違いが出る |
イヤーチップ/装着性 | XS〜L のサイズ(4種) | XXS〜L(5種)/フォームタイプあり | 小さめの耳・人によって合いにくかった人には合いやすくなっている |
防塵・防水等級 | IP54(部分的な防塵・耐水) | IP57(ホコリ・汗・一時的な水没耐性) | 安心感が増すが、水中で使うようなシーンは想定外なので注意 |
健康・フィットネス機能 | 心拍数センサーなし | 心拍数センサー付き、ワークアウト連携あり | 運動や体調管理を兼ねたい人には大きなプラス |
ライブ翻訳機能 | 無し(または限定) | 有り(ベータ含む) | 多言語での業務やコミュニケーションがある人には魅力 |
バッテリー持続時間 | Pro2:ANCありでおおよそ 6 時間前後 | Pro3:ANCありで約 8 時間 | 長時間の会議や作業に余裕ができる |
価格 | 販売価格帯は変動あり | 39,800円(税込) | Pro2を買ったばかりの人は迷う価格か |
注意点として、Pro3 でも完全に全てのニーズを満たすわけではありません。例えば、ANC が強化された分、イヤホンの遮音性が強すぎて「家族の呼びかけ」や「ドアチャイム」などが聞こえにくくなる場面があるかもしれません。また、フォームタイプのイヤーチップは合わない人には圧迫感を感じることもあります。
3. 在宅ワークでの具体的な活用シーンと使い方ヒント
ここでは、「実際にあるシーン」を想定して、どう使えば AirPods Pro3 を最大限活かせるかを挙げます。
3.1 オンライン会議中の音質改善と発話の明瞭さ
- 外部雑音を ANC で遮断しつつ、自分の声をきちんと相手に届けるために、マイクの性能とノイズリダクション機能を活用する。Pro3 のマイク/ノイズ処理改善により、背景の風切り音や空調音などを抑えやすい。
- 会議前にイヤーチップのフィットを確認。フィットが悪いとマイクの拾い音がアルゴリズムで補正されにくく、声がこもったりこもり感が出ることがある。
3.2 静かな環境を作って集中力アップする時間帯
- 集中したい作業(文章を書く、調べものをする、コードを書くなど)の時は、ANC をフルに使って周囲音を抑える。Pro3 の強化された ANC は、このような場面で特に効く。
- 音楽またはホワイトノイズなど、集中を助けるサウンドを使う。音楽の種類はリラックスできるものを。あまりにも変化が激しいものは注意散漫になることも。
3.3 休憩・運動と切り替える際の利用
- 15分〜30分の休憩で、ストレッチや短い運動をするときに、心拍数センサー/ワークアウト機能を使って軽く体を動かす記録を取る。
- また、外で少し散歩したり買い物に出るときにも IP57 の防水・防塵性能が安心(汗・予期せぬ雨など)。在宅勤務と普段使いを兼ねたい人にメリット。
3.4 多言語作業/資料・ミーティングでの翻訳サポート
- 海外クライアントとのミーティング、あるいは英語の動画・音声資料を聞くときに、Live Translation を使って理解を補強する。聞き取りにくい発音や速い英語でもサポートになる。
- ただし翻訳機能は “ベータ” の状態で導入される地域・言語での対応状況に差がある可能性があるので、使用前に自分の言語がサポートされているかチェックを。
3.5 マネジメントや健康面の配慮として
- 長時間の作業では耳・頭への負担が出ることも。装着时间を区切ったり、イヤーチップを替えてフィットを最適化する。
- 心拍数センサーを使って、“ストレスや疲労” の見える化を図る。例えば会議が続いたあとは少し歩いたり深呼吸するなど、体調と音環境の切り替えを意識する。
4. 障がいを持つ方/感覚過敏などある方にとっての配慮ポイント
在宅ワークをする障がいを持つ方や、聴覚・感覚過敏がある方にとって、イヤホンは単なる“音を聞く道具”を超えて、“環境をコントロールするアイテム”になります。
Pro3 はその面で改善が多くありますが、使う際の工夫も重要です。
4.1 フィット感とイヤーチップ選びがカギ
- 装着時の圧迫感・痛みを感じる方は、まずサイズ(XXS なども含む)と素材(フォーム vs シリコン)を比較して、自分の耳に合うものを選ぶ。
- 長時間つけるなら軽めのものが良い。頭や耳の形状によって疲れ具合が変わります。
4.2 ノイズキャンセリングの強さと“聞き取りたい音”のバランス
- 感覚過敏があると、強い ANC+高遮音性が、環境音をほぼシャットアウトすることで逆に不安になることがある(呼びかけが聞こえない、火災報知器の音など)。
外部音取り込みモード(トランスペアレンシー/アンビエント)を使い分ける。 - 静かな部屋での作業時は ANC を強く、家族が近くにいるときや呼びかけが必要な時はオープンなモードに切り替える習慣をつける。
4.3 操作性・管理のしやすさ
- ボタン操作や触覚での操作がわかりやすいこと。
Pro3 では既存の Pro2 と操作感など大きく変わってはいませんが、イヤーチップのフィットによって音質・ノイズ制御の効きが変わるので、それを体で理解しておく。 - 充電の管理、バッテリー残量の通知など、準備を怠らないと “途中で切れるストレス” が出る。
4.4 コストとメンテナンスも考える
- フォーム入りイヤーチップは使い続けると劣化する。
清潔さ・匂いなども気をつけて、定期的な掃除や交換を。 - ケースや充電器、ケーブルなど紛失・劣化が起きやすい部分を把握しておく。
5. 購入を考える前にチェックしたいこと
在宅で AirPods Pro3 を取り入れるかどうか、購入前に確認しておきたいポイントをまとめます。
Apple公式:https://www.apple.com/jp/airpods-pro/
5.1 日本での発売日・価格・保証
- 2025年9月19日 発売、価格は39,800円(税込)。
- 保証内容、修理対応(特にイヤーチップやフォーム部分など消耗品)がどうなっているかをチェック。
5.2 対応デバイス・ソフトウェア要件
- iPhone や iPad、Mac など Apple 製品との連携がスムーズですが、ソフトウェアのバージョンが最新であることが望ましい(iOS/macOSなど)。新しい機能(ライブ翻訳など)が“ベータ”だったり、地域や言語で制限がある場合も。
- ノートパソコンや非 Apple デバイスでも使えるが、ANC 制御や翻訳機能、フィット感検証ツールなど一部機能が制限される可能性あり。
5.3 使用環境(騒音の種類・頻度・仕事の内容)
- 自宅でどのくらい騒音があるか(外の音、家の構造、家族やペットの音など)を確認してみる。もしも静かな部屋が確保できるなら、強力な ANC はあまり必要ない場合もある。
- 会議が多い/大きな声を出す必要がある/通話によるコミュニケーションが中心かどうかによって、マイク性能やノイズ除去機能の重要度が変わる。
5.4 コスト対効果
- Pro2 をすでに持っている場合、Pro3 のアップグレードで得られるメリットがどれだけ自分にとって“体感できるか”を考える。ANC の強化、防水性能、心拍数センサー、翻訳機能など、どれを使いたいか優先順位を付ける。
- イヤーチップや交換部品のコスト、メンテナンスの手間を含めたトータルでのコストも見ておく。
まとめ
AirPods Pro3 は、在宅ワークにおいて、集中力の維持、仕事中の快適さ、健康管理、多言語対応など、Pro2 からの改善点が多数あります。「違い」がはっきりしているのは、ノイズキャンセルの強化、装着性(イヤーチップ+形状)、耐久性(防塵防水)、心拍数センサーやライブ翻訳といった付加価値機能です。
ただし、「どれだけの違いが自分の環境で実感できるか」「価格や使用習慣」「耳の形・感覚の好み」によってそれは変わります。障がいをお持ちの方や感覚過敏がある方ならば、フィット感・音の遮断具合・外部音取り込みモードの使い分けが特に重要。
もし私があなたの立場なら、まず Pro2 と Pro3 を実際に試着・試聴できるショップを訪れて、在宅で使う環境に近い条件(部屋の雑音、椅子に座っている時、机で作業している時)で ANC の効きや装着感を確かめます。それで「十分なアップグレードかどうか」が見えてくると思います。